網膜剥離(網膜はく離)は外傷性の網膜剥離を除くと、50歳代から多い目の病気で、裂孔原性網膜剥離が多いといわれています。裂孔原性網膜剥離とは、硝子体が眼球に連動して動くことで網膜が引っ張られて裂け目(網膜裂孔)ができて、液化硝子体が網膜の下に入り込んで網膜が剥がれた状態が網膜裂孔による網膜剥離(網膜はく離)です。強度の近視では、網膜が弱く硝子体の液化が早く進むため、網膜剥離になりやすいとされています。網膜裂孔はレーザー凝固法で治療をおこないますが、網膜剥離(網膜はく離)を起こした場合の治療は手術になります。網膜剥離(網膜はく離)には、外傷性の網膜剥離や、糖尿病や他の眼疾患による二次的に起きる続発性網膜剥離もあります。網膜剥離は自覚症状がでにくく痛みも特にないため、網膜症と診断された場合、定期的な眼底検査や眼圧検査などの眼科的検査が大切になります。網膜剥離は治療をしないで放っておくと失明する可能性の高い目の病気です。
網膜剥離(網膜はく離)とは
網膜剥離(網膜はく離)原因
網膜剥離(網膜はく離)の原因は、加齢・外傷性・他の病気・近視・目の酷使・生活習慣などが上げられます。網膜そのものが弱く硝子体に強く癒着していることなども網膜剥離(網膜はく離)の原因になっています。中高年に多いのが後部硝子体剥離による網膜裂孔による網膜剥離で、若い人に多いのが網膜変性部の萎縮による円孔にともなう網膜剥離です。
■中高年の網膜剥離(網膜はく離)
後部硝子体剥離に伴う網膜裂孔による網膜剥離は、飛蚊症の変化を自覚しやすく、視野欠損も急速に進行しやすい網膜剥離です。治療をしないで放っておくと失明する可能性の高い目の病気ですから、網膜剥離の症状があるならば早期治療が鍵になります。
■若い人の網膜剥離(網膜はく離)
若い人の網膜剥離(網膜はく離)は強度の近視や外傷性のことが多いとされています。強度の近視では網膜が変性萎縮して円孔ができて網膜剥離を引き起こしますが、網膜剥離に進行することはあまりなく、網膜剥離が起きても進行はゆるやかです。近視ではもともと視力が悪く飛蚊症があったりするので症状の変化に気づきにくく、眼科検診などで網膜裂孔や網膜剥離が見つかることがよくあるようです。
■網膜剥離(網膜はく離)になりやすい人
○網膜裂孔がある。
○網膜剥離が起きたことがある。
○血縁者に網膜剥離を起こした人がいる。
○強い近視である。
○目に外傷を受けたことがある。
○目の手術をうけたことがある。
○アトピー性皮膚炎である。
網膜剥離(網膜はく離)症状
網膜剥離の症状には、飛蚊症、光視症、視野欠損、視力低下などがあります。網膜には痛覚がありませんから、網膜剥離だけでは痛みはありません。次のような症状がある場合は網膜剥離の疑いがあります。眼科で検査を受けましょう。
○網膜剥離の症状:飛蚊症(ゴミや黒い点のようなものが見える症状です)
○網膜剥離の症状:光視症(暗所で視界の中に走るような光が見える症状)
網膜剥離が進行すると、
○網膜剥離の症状:視野欠損(見ている物に部分的にカーテンがかかったように、物の一部が見えない状態)
○網膜剥離の症状:視力低下
■網膜剥離チェック
片目ずつチェックしてください。両目を開けて片手で片方の目を覆って、覆ってない方の目をチェックします。気になる項目があるなら病院(眼科)での診察を受けてください。
○視力が落ちていませんか?
○物がゆがんで見えていませんか?
○見えにくい部分はありませんか?
○飛蚊症が強くなっていませんか?
○光視症の症状が現われていませんか?
網膜剥離(網膜はく離)検査
網膜剥離は眼底検査で簡単にわかります。網膜剥離の初期症状である飛蚊症・光視症が現われたらすぐに眼科での検査を受けましょう。この時期に眼底検査を受けて網膜裂孔が見つかり網膜剥離に進行していなければレーザー光凝固術などで裂孔を塞ぐ治療で、眼球にメスをいれることなく通院で済みます。網膜剥離に進行していれば入院手術になります。
網膜剥離は眼底検査が最も重要です。眼底検査の30分程前に瞳孔を開く目薬を点眼し、瞳孔が開いてから眼底検査を行います。眼底検査では、網膜裂孔や網膜剥離の有無、網膜剥離の範囲や程度、網膜の前にある硝子体の状態などを調べます。検査中や検査後の痛みはありませんが、瞳孔が元に戻るのに3~4時間かかり、その間は物がぼやけて見えます。
網膜剥離(網膜はく離)手術
網膜剥離の治療は主に手術で、症状や剥離の状態で手術方法異なり、網膜剥離の範囲が小さく、剥離してから治療までの期間が短いほど、手術後の視力回復が良いといわれています。眼底検査を受けて網膜裂孔が見つかり網膜剥離に進行していなければレーザー光凝固術などで裂孔を塞ぐ治療で、眼球にメスをいれることなく通院で済みます。網膜剥離と診断されたら出来るだけ早く入院をして安静にします。体や目を動かすことは、網膜の剥離の範囲が広がるリスクを高めることになるからです。
■網膜剥離の治療手術
網膜剥離の治療は主に手術で、病状によって手術方法が異なります。網膜剥離になる前の網膜裂孔や網膜変性だけならばレーザー治療で網膜剥離の進行を抑えます。
網膜剥離に進行している場合の多くは入院して手術をすることになります。眼の外から網膜裂孔部分にシリコンなどの当て物をして孔の周りを熱凝固や冷凍凝固で剥離した網膜を剥がれにくくします。この手術において、剥がれた網膜を目の中から押さえつけるために眼内に空気や特殊ガスを注入することがあります。眼球の周囲にタガのような当て物で眼球の容積を減らす強膜内陥術と呼ばれる手術もあります。
重症の網膜剥離は硝子体手術が行われます。硝子体手術は眼の中から網膜剥離を治療するもので、50才以上では硝子体手術と同時に白内障手術を行う事が多いようです。最近開発された新硝子体手術を取り入れる病院が増えてきており、より安全で確実な手術ができるようになったといわれています。
網膜剥離の手術後と再発
網膜剥離の範囲が小さく、剥離してから治療までの期間が短いほど、手術後の視力回復が良いといわれています。
■網膜剥離の手術後
手術後数日間は剥離の状態によって体勢や体の動きが制限されることがあります。網膜剥離の重症度により入院期間が異なりますが、経過が良好であれば手術後1週間程で退院可能ともいわれています。手術後の日常生活や運動などを始められる時期は医師とよく相談し、退院後に眼に異常を感じたら早々の眼科での診察が大切で、手術後の数年間は年に1・2回の定期検査を受けます。
■網膜剥離の再発
網膜剥離の再発は剥離の種類で異なりますが、一般的に9割以上が1回の手術で治るといわれています。網膜剥離が再発する場合は2~3ヶ月以内に起こることが多く、術後半年経過で病状が安定していれば、取りあえずは安心です。
網膜とレーザー治療
レーザー治療は眼科の分野で有効かつ安全な治療手段とされています。特に網膜の眼科疾患では、組織を凝固したり切除する働きのあるレーザーの特性や、網膜とその下にある組織との接着力を高める作用によるところが大きいとされています。安全であることがレーザー治療の特徴ですが、当然のことながら、レーザー治療の十分な知識・技術や治療環境による十分な効果と安全性を得られる治療が必須です。また、レーザー治療の特徴やリスクなどを納得できるよう説明がなされ、治療前の検査や治療後のアフターケアも病院選びの条件になります。
■レーザー光凝固と網膜剥離
網膜剥離に進行する前の綱膜に孔があるだけの状態や綱膜変性だけの状態ならば、レーザー光線を照射して焼いて、瘢痕を作るだけで治療ですませることが可能なのがレーザー光凝固術というレーザー治療です。一般的に術中の目の痛みはなく、術後に軽い痛みが出ることがあっても軽いといわれています。瘢痕(やけど)がしっかり固まるまでの1ヶ月くらいは激しい運動を避けなければなりませんが、日常生活に制限はなく仕事・入浴・テレビなど通常の生活は即日できるようです。手術時間は準備を含めて15分程度で、一般的に術後 3週間~1ヶ月後に検査により経過を観察します。
■レーザー治療が可能な眼の病気(網膜の病気)
○糖尿病による出血(糖尿病性網膜症など)
○血管の病気による網膜の出血(高血圧症や腎臓の病気も含む)
○網膜の黄班部の病気(黄斑変性症)
○網膜に穴が開く病気(網膜裂孔、網膜円孔など)
○網膜剥離
○角膜変性症
網膜剥離(網膜はく離)予防
残念ながら網膜剥離には効果的な予防方法はありません。ですから、眼の異変を早く見つける事が重要になります。網膜剥離の前の段階の網膜変性症の自覚症状は殆どないため、目薬で瞳孔を開いた状態での眼底検査が重要で、特に中高年からは1年に1回この眼底検査をうけることが網膜剥離の予防に繋がります。網膜剥離になりやすい危険因子をもつ人は、さらに定期的な眼底検査が望まれます。
■網膜剥離(網膜はく離)の危険因子
○網膜裂孔がある。
○網膜剥離が起きたことがある。
○血縁者に網膜剥離を起こした人がいる。
○強い近視である。
○目に外傷を受けたことがある。
○目の手術をうけたことがある。
○アトピー性皮膚炎である。
飛蚊症や光視症の症状があるなら早めに眼科受診をしてください。稀に網膜が一日で剥がれる事もあります。後悔しないためにも定期的に眼科を受診して眼底検査を受けて確認する事が望まれます。そして、適切な治療をしましょう。早期発見と早期治療です。

